水道管の種類(塩化ビニル管)

本管

前回の記事で、水道管と一言で言っても様々な種類があることを述べましたが、記事を分けて一つ一つ説明していきたいと思います。

最初に、生活していく上でおそらく一番目に入るであろう”塩化ビニル管”について本記事にて記載していきます!

塩ビ管の概要

塩化ビニル管とは、ポリ塩化ビニルを材質とする配管のことであり、正式名称を”硬質ポリ塩化ビニル管”といいます。主に配水本管や給水管、排水管等用途は多岐に渡り、水道管としての用途だけではなく、通気管、電線管等でも用いられます。内面が滑らかで腐食に強く、金属管に比べ軽量です。また、施工性にも優れ、非常に汎用性に優れた配管だといえます。

先ほど生活していく上で目に入る配管と述べましたが、通常水道管は埋設されていることが多く、露出している配管は限られてきます。その中でも、塩ビ管は、家の雨どい管や通気管として目にすることが多いのではないでしょうか。家の壁に配管されている樹脂管がそれです!基本的にグレー色(灰色)なんですが、住宅の外壁に色を合わせたカラーパイプが用いられる事も多いです。ホームセンター等でも販売しており、価格も安価の為、気軽に購入可能です。

塩ビ管は、配管としてだけではなく、DIYで棚等を作成するのに利用する方もいらっしゃいます!

次に塩ビ管の種類について説明していきます!

塩ビ管の種類

塩ビ管は、その汎用性の高さから、水道管の中でも種類がたくさんあります。

規格や名称、サイズ、用途等下記にまとめてみます!

規格規格番号規格名称呼び径範囲用途備考
JISK6741硬質ポリ塩化ビニル管13~600一般用VP管・HIVP管
VM管・VU管
K6742水道用硬質ポリ塩化ビニル管13~150水道用VP管・HIVP管
K6743水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手13~150水道用TS継手・HITS継手
K6739排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手30~150排水設備用DV継手
K6776耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管13~50給湯用HT管
K6777耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管継手13~50給湯用HT管継手
K9797リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管100,150,200,300下水道水(埋設)用RS-VU管・敷地内配水管下水道用取付管
ますの立ち上がり部
K9798リサイクル硬質ポリ塩化ビニル発砲三層管40~150排水設備用RF-VP管
屋内の無圧排水管
C8430硬質ポリ塩化ビニル電線管14~82電線保護用VE管
JWWAK129水道用ゴム輪形硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP,VP)50,75,100,150水道用RR管(HIVP、VP)
RR-L管(HIVP)
K130水道用ゴム輪形硬質ポリ塩化ビニル管継手(HIVP,VP)50,75,100,150水道用RR管(HIVP、VP)
K131水道用硬質ポリ塩化ビニル管のダクタイル鋳鉄異形管50,75,100,150水道用
S101水道用硬質塩化ビニル管の接着剤水道用低粘度・高粘度
JIWAJIWA8工業用水道用受口付硬質塩化ビニル管200,250,300工業用
水道用
VP管・VU管(受口付)
JSWASK-1下水道用硬質塩化ビニル管75~600下水道用直管・異形管
K-6下水道推進工法用硬質塩化ビニル管150~450下水道用SUSカラー付・スパイラル継手付直管、異形管

めちゃくちゃありますね!(笑)

上記を全て覚える必要はありませんし、実際によく使う塩ビ管は限られてくるかと思います。

更にピックアップしてよく利用される塩ビ管を紹介していきましょう!

VP管(硬質ポリ塩化ビニル管・水道用硬質ポリ塩化ビニル管)

VP管は様々な用途(上水・給水・農水等、主に高圧配管)に使用されます。また、”一般用(JIS K6741)”と”水道用(JIS K6742)”に分類され、違いは「鉛の浸出試験項目」の有無です。水道用には、鉛の浸出が規定値以下である必要があります。鉛は人体に有害であり、それらの試験項目が無い一般用は上水・給水管には適しません。

VP管は、上水なのか農水なのか等どこの配管で使用するのか用途を必ず確認しましょう!

画像引用:クボタケミックス

VU管(硬質ポリ塩化ビニル管)

VU管は、VP管より薄肉であり、主に無圧排水配管で使用されます。肉厚が薄い為、VP管と比較すると軽量で安価です。VP管と外径は同じ為、薄肉の分、同口径でも内径はVP管よりも大きくなります。

排水管でもポンプ等で圧送する配管ではなく、自然流下等無圧(低圧)配管で使用しましょう。

画像引用:クボタケミックス

HI管(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)

HI管は、VP管よりも耐衝撃性に優れた塩ビ管になります。主に、上水・給水配管で使用され、VP管がグレー色であるのに対して、紺色なのが特徴です。VP管よりも性能が良い為、コストは高くなります。

こちらも”一般用”と”水道用”の2種類がありますが、よく利用されるのは”水道用”になります。

画像引用:クボタケミックス

HT管(耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)

HT管は、耐熱性に優れた塩ビ管になります。VP管の最大使用温度が約60℃なのに対して、HT管は、約90℃まで使用することができます。主に給湯配管にて使用され、赤茶色なのが特徴です。こちらも、コストは高くなります。

温泉等にも使用される為、温泉に入った際、赤茶色の樹脂管があれば、それがHT管になります!

画像引用:クボタケミックス

TS施工について

上述した塩ビ管は、それぞれ特徴があり、配管用途・使用される場所等異なりますが、施工方法は同じになります。TS接合は、管の挿し口と継手の受け口に”接着剤”を塗布して挿入し、表面の膨潤と管と継手の弾性を利用して、硬質塩ビ管を接合する接合法です。

詳しい接合手順は、これまたボリュームが大きくなる為、後日別記事にて紹介しようと思います!

RRVP管(ゴム輪形硬質ポリ塩化ビニル管・水道用ゴム輪形硬質ポリ塩化ビニル管)

RRVP管は、上記のTS接合ではなくRR接合(ゴム輪接合法)により施工する配管です。こちらも一般用と水道用があり、一般用にはVP系・VU系・VM系・VH系等種類があります。

現場では、RR管やSGR管、ベル管等様々な呼び方で呼ばれることがあります。

画像引用:クボタケミックス

HIRRVP管(水道用ゴム輪形耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)

耐衝撃性のRR管になります。主に上水道配管に使用され、地域によっては配水本管で用いられます。やはり、RRVP管と比較してコストは高くなります。

RR接合は、TS接合と比較して、可とう性もあり、耐震性に優れてます。

画像引用:クボタケミックス

HIRRロングVP管(水道用ゴム輪ロング受口形耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)

受け口がロングのHIRR管になります。ロング受け口構造により、通常のRR管と比較したときに、伸縮可とう性が更に優れ、耐震性能が大幅に向上しています。こちらも配水本管でよく使用されます。

各自治体でも配管の耐震化が進んでおり、ロング受け口管の採用が進んでいます。

      画像引用:SEKISUI エスロンタイムズ

RR施工について

TS接合は上述した通り、接着剤を使用し、表面の膨潤と管と継手の弾性を利用して、硬質塩ビ管を接合する方法でしたが、RR接合は、管の差し口とゴム輪表面に”滑材”を塗布して挿入接合する接合法です。

こちらもTS施工と同様、別記事にて紹介したいと思います!

塩ビ管の接合方法としては、”TS接合”と”RR接合”の2種類があり、管の種類により使い分けられます。

最後に

今回、塩ビ管について簡単に説明しましたが、少しはイメージできましたか?

塩ビ管は、一番身近であり、基本的な管になりますが、様々な用途で使用できる汎用性に優れた管ともいえます。自分もこの業界に入ったときに一番最初に勉強したのが塩ビ管でした。

VPやVU、HT、HI、RR、更には今回紹介できなかったDV、VM、VHと様々な略称があり、最初は何が何を表しているのか、この人は何を言っているんだろう・・・と思うかもしれませんが、すぐに慣れて理解できるようになります!!ゆっくりなじんでいきましょう!

次回は”鋳鉄管”について紹介していきますので、よろしくお願いします!!

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